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2008年4月

2008年4月23日 (水)

投資は労働者の人権を尊重して

 20年以上に及ぶ内戦を乗り越えたカンボジア王国はいま、政治的、経済的に安定しており、近年は8%以上の経済発展を続けている。社会の安定は人口増加をもたらし、現在の総人口は約1、400万人といわれている。その人口構成を見ると、19歳~28歳の比率が約22%、18歳以下が約50%と若年層の比率が高く、雇用を求める若者は毎年20万人に達すると聞いている。

 カンボジアの主産業は縫製業で、その大半が外国からの直接投資による企業誘致だ。現在約300社が30万人を超える雇用を創出し、最大の産業に成長した。ほかに履物や飲料品などの工場も進出して雇用機会は増えているが、毎年新たに雇用を求む20万人に及ぶ若年層を吸収するには、更なる企業の誘致が必要だ。

 カンボジアにおける外資系企業は全体で500~600社、製造業や観光業を中心に投資が行われ、そこで働く現地人は50万人~60万人と推計される。外資系企業を国別に見ると、韓国、台湾、中国、マレーシア、シンガポールなどが多くを占め、日本は遅れをとっている。ODA(政府開発援助)では日本は最大の援助国だが、民間では下位に甘んじているわけだ。隣国のタイやベトナムには数え切れないほどの日本企業が進出しているのになぜだろうか?

 まず考えられるのが、カンボジアのイメージの悪さだ。日本のマスコミがカンボジアを紹介するとき、かならず出てくるのが地雷・ポルポトといった負の遺産だ。そんな国に投資して政変でも起きたら大損だと、日本の多くの企業家は思っている。ポルポト裁判が遅々として進まないことも遠因だ。

 昨年6月、日本とカンボジアの間に『日本カンボジア投資協定』が結ばれた。今まで少なかった日本からの投資も、少しは増えるのではと現地の人は期待している。カンボシア政府労働・職業訓練省のボン・ソット大臣は『あらゆる面でカンボジアの状況は良くなっているが、まだ手探りの状態です。若い世代が育ち、専門学校や大学を卒業しても就職先が少ないのです。日本の企業家の皆さんに、カンボジアを投資先に選んでいただけるように期待しています』と話している。

 労働条件の改善も急務な課題だ。狭く、蒸し風呂のような会社の寮の部屋に10人以上が押し込められ、朝から晩まで低賃金で働かされているカンボジアの女工さんはかつての『女工哀史』に通じるものがある。不満が爆発すると騒動に発展しかねないのが途上国の現状、各国は働く者の人権を尊重した上で積極的に投資してもらいたいものだ。       

 2008年4月23日(水)   理事長  根岸恒次

                      

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