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2008年10月

2008年10月24日 (金)

対立の歴史に終止符を!

 カンボジアはインドシナ半島の真ん中にある。東南はベトナム、北西はタイ、北はラオスに囲まれている。そんな地形の関係で、カンボジアの歴史は隣国との領土をめぐる争いの歴史といえる。

 カンボジアの国土は日本の半分、カンボジア人に言わせると、昔は今の2倍あったという。ベトナム南部のメコンデルタは「コーチンチャイナ」といって元々カンボジア領だったが、幾多の戦争を経て現在はベトナムの領土に、タイ東部も元はカンボジア領だったが、戦争でタイに取られたという。ベトナム南部を南カンボジア、タイ東部を北カンボジアと呼ぶカンボジア人もいる。

 そんな関係からか、カンボジア人はベトナム人、タイ人が嫌いだ。日本人がベトナムを旅した後にカンボジアへ入国する際には、ノンラー(半円形の帽子)とアオザイ(ベトナムの民族衣装)を身に着けないようにと、旅行会社から注意が出されるほどだ。

 先日、プノンペン市郊外にあるベトナム人村を訪れる機会があった。300人あまりのベトナム人が身を寄せ合い暮らしている様子で、カンボジア人を寄せ付けない雰囲気を感じた。村の中心にカトリック教会の本堂があって、ほとんどの家庭にマリア像や写真が飾られていた。仏教を信奉するカンボジア人にとっては考えられない風景だ。

 タイとの関係もよろしくない。タイ人女優が「アンコールワットはタイのもの」と言ったか言わないかで暴動にまで発展、プノンペン市内のタイ系工場、レストラン、ホテル、大使館までもが襲撃された事件が5年前にあった。最近はタイとカンボジアの国境にあるヒンドゥー教寺院遺跡「プレアビヒア」が今年の7月に世界遺産の登録が決まったことで国境紛争が再燃、銃撃戦があってカンボジア兵士が2人死亡した。

 この2カ国に比べると、ラオスとの関係は比較的良好だ。接する国境が短いこともあって領土問題が少なく、何しろベトナム・タイに比較すればカンボジアとラオスはどんぐりの背比べでGDPも似たり寄ったりだから、嫉妬の対象にもならないのだろう。しかし最近ラオスの発展著しく、最近のGDPはラオスが大きくリードしているというから、それを知ったらカンボジア人の感情が微妙に揺れ動く可能性がある。

 しかしいつまでも対立していては、21世紀の基調である共存共栄の新時代についていけなくなる恐れがある。世界はブロック化の傾向があり、東南アジアも「ASEAN」として地域共同体が構築され、将来「ユーロ」みたいに通貨統合の時代が来るかもしれない。

 カンボジア人の高いプライド、クメール民族としての誇り、伝統を重んじる国民性、どれも大切だが、この小国が生き残るために今何が必要なのか、真剣に考える時がきている。

       2008年10月24日    理事長    根 岸 恒 次

Mekon

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2008年10月17日 (金)

ストップ!児童労働

 ILOの調査では、何らかの経済活動に従事している子どもは世界で3億1、700万人おり、その数がもっとも多いのがアジア・太平洋地域で全体の6割を占めるという。働く子どもの大半が途上国に住んでいるのが実情だ。

 「21世紀のカンボジアを支援する会」では、農村に住む貧しい子ども達が学校へ行けるようにと5年前「クメール教育里親基金」を創設し、現在約500人の小・中学生を教育支援している。奨学金(返済の必要なし)を出してくれる里親さんを募集し、里子が学校を卒業するまで面倒を見るシステムだ。

 ところが最近異変が起きた。世界的な傾向である諸物価の高騰、食糧不足という「静かな津波」がカンボジアの農村部にも押し寄せ始めた。そのため、里子が学校へ行くのをストップさせられ、子どもを出稼ぎに出してしまう親や親戚が増えているのだ。児童労働は日本では違法だが、途上国では当たり前のように子どもが労働に駆り出されている。背に腹は代えられないということか。男の子は建築現場、女の子は縫製工場で働くケースが多い。

 5年かけて軌道に乗せた貧しい子ども達への支援体制も、世界的なうねりの中に飲み込まれていく様に危惧を覚えるとともに、小さなNGO団体の限界を痛感する一方、90%の子ども達が支援金で学校に通っていることもまた事実、やはり地道に闘っていくしか方法はない。

 カンボジアは経済成長率が年8%を超え、外国資本による工場誘致、土地バブルによる空前の建設ブームが人手不足に拍車をかけている。カンボジアの総人口は1、400万人、そのうちの18歳以下が人口の50%に当たる700万人だ。仕事にありつけるのはありがたいこと、しかし児童労働は極力避けるべきだし、ましてや低賃金で子どもを酷使しては絶対いけない。性産業で働かせるなどもってのほか、買う大人は厳しい罰則を受けて当然だ。

 思えばわが国も一昔前まで子どもが元気に働いていた。(今も働いているかもしれない)私も中学生の時新聞配達をして家計を助けた。国全体が貧しかったので違和感はなかった。発展していく過程にかならず通らねばならない道、カンボジアもその立場にあるのかもしれない。しかし子ども達にはやはり一生懸命学び、思い切り遊んでほしい。

         2008年10月17日     理事長  根岸恒次

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