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2013年5月

2013年5月31日 (金)

カンボジアの高齢者は幸せだった

 父の葬儀を済ませるとすぐ、カンボジアに旅立った。喪主として、葬儀のあとにやるべきことが山積みだったが、父が「私のことはかまわず、カンボジアの子どもたちが待っているのだから早く行ってあげなさい」と背中を押してくれたような気がして、後始末を兄弟に頼んだ。まったくいい加減な喪主だ。;

 5月のカンボジアは暑かった。しかし、下旬になると雨季の兆候である夕立がほぼ毎日あった。雨の後は一瞬涼しく、快適だった。

 前から予定していたこともあって、13日から15日にかけ、お隣のラオスへ行ってみた。カンボジアへの渡航回数は100回を超えたが、ラオスは初めてだった。首都ビエンチャンを訪問しただけなので国の全体像は見えなかったが、概して静かな国という印象だった。あのプノンペンの喧騒を思えば、リゾートに来た錯覚を覚えた。  
 ラオスの感想は後に譲り、16日から27日まで、いつもの通りカンボジアで活動してきた。

 カンボジアの農村に井戸を3基造った。今まで、小学校の校庭に造ることが多かったが、これからは水不足に悩む村のためにも井戸を提供していくつもりだ。

 村に井戸を贈呈した式のあと、長老たちと話す機会があった。年は60代~70代だが、強烈な太陽光線が肌を傷めているのだろうか、日本人より20歳~30歳ほど老いて見えた。

 カンボジアには年金も健康保険もないが、家族や子どもたちが年寄りを大事にする習慣があって、お話していて余裕のようなものを感じた。経済的に困窮し、生活は決して楽ではないが、お金では買えないなにかがあった。地域や家族の中で、お互いが寄り添い、支えあって生きている様を実感した。かつては日本もそうだった。

 日本人の平均寿命は、男女合わせると82~83歳だろう。私も、あと半年で高齢者の仲間入りだ。あと何年、国際協力の舞台で活動できるか知れないが、生かされている限り人間としての誇りを失うことなく、真摯に生きて行きたい。

2013年6月1日                    根岸恒次(法人理事長)

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寄り添って生きるカンボジアの高齢者たち

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2013年5月10日 (金)

101歳の長寿を全うし旅立った父を偲ぶ

 個人的なことで恐縮だが、4月30日の夕方、実父が亡くなった。101歳、老衰だった。長寿を全うし、父もさぞかし満足の人生だったに相違ない。

 昨年秋の敬老の日には地元の市長さんが自宅を訪問してくれ、内閣総理大臣から表彰状をいただいた。まだ元気だった父は満面笑みを浮かべ、表彰を心から喜んでいた。

 父は明治45年1月10日、埼玉県寄居町に生まれたが、奇しくも亡くなった場所が寄居町にある介護施設だった。1世紀を経て、元に帰ってきたのである。
 明治45年は今から約1世紀前だが、この年に明治天皇が崩御され、大正元年を迎えた。前年の明治44年には、タイタニック号の海難事故が起きている。

 父は小学生の時関東大震災を経験、太平洋戦争では2年間兵役に就いた。高等小学校を卒業すると地元の鉄道会社に勤務、56歳で定年退職するまで40年間、鉄道マンとして働き、私を含む4人の子どもを養ってくれた。
 小学校低学年の頃、父は私に、よく本を読んでくれた。父が帰宅すると、なにより本を読んでもらうのが楽しみだったことを記憶している。
 中でも、野口英世の伝記が好きだった。思えばあの時、野口英世のように世界の貧しい人たちのため尽くしたいという願望が、子ども心に芽生えたのだろうか。

 あれから半世紀、今私は国際協力の分野で活動している。野口英世のように医者にはなれなかったが、世界の貧しい子どもたちのため、少しはお役に立てているかなと自負している。

 父は国際協力には殆ど理解が無かった。しかし、私にその動機を与えてくれたことで、父の精神が途上国で花開き、実を結んだ。私の息子も国際協力の活動に参加しており、父から子へ、そして孫へと、その気持ちが伝わっている。

 人生、長く生きて100年、平均年齢は男性が80歳、女性が86歳だ。この間にできることは限られているからこそ、次世代に継承することが大事である。
 私は今64歳、あと20年は頑張れるかな?と思う反面、この世はいつ何が起きるか分からない。明日の命を保障してくれる人は誰もいないのだ。まずは今日、人としての誇りを持ち、恥ずかしくない一日を過ごしたいと願っている。

2013年5月15日                         根岸恒次(法人理事長)
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父の葬儀で喪主としてあいさつをする(写真提供=遠藤 啓様)

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