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2015年5月 1日 (金)

プレゼントしたはずの自転車はどこへ?

 「クメール教育里親基金」は2003年に発足、以後12年間、カンボジアの貧しい家庭にある子どもたちを教育支援してきた。支援した子どもの数は延べ1,000人を超え、今も350人もの子どもたちを継続支援している。

 本会では、年に3回実施する「カンボジアふれあいの旅」に参加し、支援する里子に会うことを奨励している。
 今までに38回行われた「カンボジアへの旅」に参加し、里子に会った里親さんは延べ200人を超える。安くない渡航費を支払い、会いに行ってくださる里親さんに感謝しているが、そこには、お金で買うことのできない‘感動の出逢い’があった。

 「カンボジアふれあいの旅」に参加した及川英博さん(岩手県奥州市・里親会員)が、里子訪問記を寄せてくれた。

『里子訪問記』
 2度目にモン・モイ(里子の名前)を訪問したのは、里親になって1年後の夏である。お互いに2回目とあって、すぐにうち溶けて気安く話しかけることができた。
 訪問してびっくりしたことは、あのヤシの葉で作られた朽ち果てた状態の‘象徴的な家’が真新しくなっていたことである。
 屋根はトタン葺き、土間は立派なコンクリートに変身していた。事の真相を聞くと、土台が蟻に浸食されて倒壊してしまい、仕方なくローンで建て直したのだそうだ。新しくなったとは言っても、周囲の家と同格になったというだけで、ことさらびっくりするほどの家ではない。
 しかし考えてみれば、女手一人の働きで家を新築するということは大変な負担であろう。話しながら祖母の目の奥にうっすらと涙が光っているのが見える。
20150511_001
【自宅前で里子のモン・モイと】

 モン・モイに勉強のことを尋ねると、手伝いで時々欠席はするが、学校がとても楽しいと答えてくれた。上の学校に進学する希望はあるのかと尋ねると、下を向いてはにかむばかりである。きっと家の経済事情を知る彼女は、祖母の気持ちを推し計っているように思えた。プレゼントしたはずの自転車もなかった。
 以前、知人の里子の家で、生活苦のために売却してしまったという話を聞いたことがある。モン・モイもあるいは同じ事情なのかと、自転車の行方を案じた。もし売却したとしても、懸命に生きる姿を見せられると責める気持ちにはなれない。
 帰り際、祖母はバケツに入った椰子砂糖をプレゼントしてくれた。買えば相当な値段がするものではないだろうか。お茶代わりに出してくれたココナッツジュースといい、日本人的なおもてなしの心情に触れた思いがした。
 農村でも米は頻繁には食べていないというので、現地で購入したお米50キロをお土産に持参したが、食べざかりの孫3人を育てる一家には何日もつだろうか。
 別れ際、ローンの返済で当分は苦労するだろう祖母の手助けにと、ポケットにあったお金をとっさに祖母の節くれだった手に握らせた。
 見えなくなるまで手を振るモン・モイ一家の姿を見ているうちに目頭が熱くなった。

          2015年5月11日(月) 根岸恒次(法人理事長)

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